大電力マイクロ波を用いた新材料創生研究

マイクロ波電力伝送は大電力マイクロ波を用いるため、加熱用途にも用いることが出来る。

化学工業プロセスでは、化学変換プロセスに要する大部分の熱源供給を化石資源の熱変換に依存している。今後、地球規模での急激な人口増加と経済発展によるエネルギー需要量の増加に応えるためには、熱変換プロセス高効率化技術の開発が必要不可欠である。その一つの手段としてマイクロ波加熱が、省エネ、高効率化技術として注目されている。マイクロ波加熱は被加熱物質を直接内部発熱し、迅速かつ選択的に加熱することができる上、マイクロ波の微視的非平衡場の特性を利用して化学反応の選択性や速度を高めることができることから、省エネ、高効率化、化学反応制御技術、として注目されている。

本研究室ではこれまでマイクロ波を用いた無線電力伝送技術の研究とともに、木質バイオマスを用いたバイオエタノールの研究を積極的に推進してきた。マイクロ波無線電力伝送は電力伝送という性質から、加熱応用並みの大電力マイクロ波発振源と通信・レーダー応用並みの高品質のマイクロ波制御、そしてマイクロ波回路技術が必要とされ、ほぼすべてのマイクロ波応用の最先端技術を利用し、また研究開発を行わなければならない。そのため、無線電力伝送以外にも、マイクロ波プロセッシング(加熱)による新材料創生研究、バイオエタノール、バイオケミカルス生産研究など幅広いスピンオフ技術が生まれてきた。このような新しい応用研究は生存圏研究所ができて初めて生まれたものであり、現在は生存圏研究所のフラグシップ研究のひとつと認定されている。

現在マイクロ波プロセスで創生しているものは

    バイオエタノール

    酸化チタン他金属系材料

である。