磁気プラズマセイル に関する研究

 惑星間空間には太陽を起源とする高速のプラズマ流である太陽風が吹き荒れています。磁気プラズマセイルは、宇宙機の周辺に人工的なダイポール磁場を発生させることで、この太陽風の運動エネルギーを受け止め、宇宙機に推進力を与えるシステ ムです。磁気プラズマセイルを現実のものにできるかどうかは、太陽風プラズマ流を受けとめるための十分な大きさの磁気圏を、探査機の持つ僅かな質量・電力リソースで実現出来るかどうかにかかっています。ここ3年ほど我々のグループは国内の研究者と共同して、このような画期的な推進システムを持つ宇宙機の実 現可能性を追及すべく、数値シミュレーション、および、真空チャンバを使用したスケールモデル実験により磁気プラズマセイルの基本原理の確認を行なってきました。その結果得られた推進性能を仮定することで、惑星間飛行あるいは太陽系脱出までもが従来と比較して短時間で実現することを示し、 同時に宇宙機の具体的なシステム検討を行ないつつあります。宇宙機の質量、電源、熱制御等のシステム設計の精度を上げるべく、磁気プラズマセイル宇宙機の中核技術である宇宙用超伝導電磁石システムに関 して、研究開発を進めつつあります。

宇宙機の軌道ダイナミクスと制御に関する研究

  地球周回軌道上の人工衛星や、月や惑星の探査を行う探査機による宇宙観測・探査・利用ミッションの実現において、どのような軌道上に宇宙機を配置するかが、人工衛星の規模からシステム設計に至るまで宇宙ミッションの全体計画を決める上で非常に重要である。月や惑星の運動を解き明かす過程で生まれたケプラーの法則、ニュートンの力学は、この数百年の間に天体力学という分野を切り拓いてきたが、宇宙機においては、さらに、搭載宇宙推進エンジンによる軌道制御の観点が加わるために、その研究対象は天体力学をさらに広げたエキサイテイングなものとなっている。また、実際の宇宙機のシステムを考慮する必要があるために、新たな観測装置、新たな推進系、新たな電源系等の進歩に応じて、軌道ダイナミクスと制御の観点からも研究領域がさらに広がりつつある。本研究室では、太陽エネルギーを用いた宇宙推進システム、例えば、太陽風を推進力に変換する磁気セイルによる外惑星探査、太陽光圧を利用するソーラーセイルによる地球磁気圏探査・惑星探査、レーザーやマイクロ波による遠隔点からのビームエネルギーによる軌道変更技術、電気推進エンジンと惑星重力を積極的に利用して軌道変更を行うスイングバイ技術による惑星・小惑星・彗星探査軌道の最適化、地球周回軌道におけるクーロン力を用いた編隊飛行の軌道制御、太陽・地球・宇宙機の3体問題における重力・遠心力の平衡点であるラグランジュ点近傍での宇宙観測軌道等、多くの研究を行っている。

アナログASIC を用いた超小型宇宙プラズマ波動観測器の開発

 これまで当研究室で開発を行ってきた、衛星搭載用プラズマ波動観測器のアナログ部を、アナログASICという集積回路内に実現させる研究を行っています。これにより、従来、A4基板1枚の大きさであったものが、数mm角のチップ内に納められてしまうことになります。一方で、この小型化技術を応用して、宇宙電磁環境を、多くの点で手軽に測定できる「宇宙圏電磁環境モニター」の研究も行っています。これは、アナログASICによって実現される小型のセンサーとそれを無作為にばらまいた状態で、各ポイント毎の位置捕捉・観測データの転送を制御する装置からなっています。宇宙で人類が活動する 際、宇宙圏環境に対して与える乱れをモニターする目的をもっている他、地上におけるセンサーネットワークシステムにも応用が期待されています。